SSPとは、近年注目される、ポリヴェーガル理論に基づいたアプローチです。アメリカのステファン・ポージェス博士によって開発され、自閉スペクトラム症やHSP、PTSD、愛着障害などに伴う過敏性やコミュニケーションの障害、注意力の問題、自律神経のトラブルの改善などに、めざましい効果が報告されています。
過敏性や傷つきやすさに伴う生きづらさを改善するとともに、社会的な関わりやコミュニケーションを促進し、ストレスに対する抵抗力や安心感、幸福感を高める新しいアプローチです。特に聴覚の過敏さがある方や聞き取りが弱く、コミュニケーションに困難を感じている方、声のトーンやしゃべり方に支障がある方、こだわりやとらわれが強く、パニックなりやすい方、自閉傾向や回避傾向がある方、不注意や多動が目立つ方、トラウマや愛着の傷を抱えていらっしゃる方に適しています。
開発者のステファン・ポージェス博士は、自律神経系の調節機能を研究する中で、迷走神経には二つの枝があり、それぞれが異なる働きをしていることを発見しました。一つの枝は腹側枝で、愛着や社会性と関係が深く、安心感の基盤となっています。もう一つの枝である背側枝は、命を脅かされるような危険な状況で活性化し、体をフリーズさせたり、意識をなくさせたりする働きもあり、トラウマに対する反応や解離と関係しています。前者は、中耳にある二つの小さな筋肉と連動しており、この筋肉の働きが悪いと、聴覚の過敏さや自律神経の問題が生じやすいのです。
SSPでは、特殊な加工を施した音楽を聴くことで、中耳の二つの筋肉の働きを改善します。それによって、過敏さやストレスを軽減し、注意力やコミュニケーションの能力を高めます。また、SSPと他のカウンセリングやトレーニング法を組み合わせることで、効果を高めることができます。
SSPは特別な研修を受け、施行資格をもつ医師または心理士が行います。ご関心のある方は、主治医、または担当カウンセラー、窓口のスタッフにお尋ねください。